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改正労働者派遣法 (弁護士 三輪 貴幸)
第1 労働者派遣とは
=派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)第2条1号が定義
「自己の雇用する労働者」を「当該雇用関係の下」に、
「他人の指揮命令を受けて」「当該他人のため」に労働に従事させること
かつ「他人に対し、当該他人に雇用させることを約してするものを含まない」
※法令は、目次、目的、定義を確認
第2 改正(平成27年9月30日施行)のポイント
※企業法務は関係各省庁のHPのチェックが重要→情報の宝庫
1 特定労働者派遣事業の廃止→許可制への一元化
2 期間制限見直し
3 キャリアアップ措置
4 均衡待遇措置強化
5 労働契約申込みなし制度
第3 許可制への一元化について
1 許可基準=派遣法第7条1項
(1)特定の者に提供することを目的として行われるものでないこと(一号)
(2)省令で定める基準に適合(二号)
・キャリア形成支援制度を有する
・雇用管理を適正に行うための体制が整備されている→具体的には資料参照
(3)個人情報の管理(三号)
(4)資産要件(四号)
2 経過措置
平成30年9月29日までは特定労働者派遣事業を継続できる
→ここまでに許可を取得することが必要
→許可を取得しない場合、偽装請負とならないように注意
第4 期間制限見直しについて
1 そもそも旧法での派遣26業務とは
2 日雇い労働の原則禁止→政令第4条1項に定める18業務は例外
3 事業所単位・個人単位の制限
(1)事業所単位で3年を超えて継続してはダメ
→ただしクーリング期間3カ月空けると期間がゼロに戻る
→3年を超える場合に過半数労働組合の意見聴取が必要となる
(2)同一の人を、同一の課へ3年以上派遣してはダメ
→課が異なればOK、ただし事業所単位の3年超過要件を満たす必要あり
4 期間制限の例外(派遣法第40条の2)
(1)派遣元に無期雇用されている派遣労働者を派遣
(2)60歳以上
(3)有期プロジェクト
(4)日数限定業務
(5)産前産後休業、育児休業、介護休業等の代替としての派遣
5 雇用安定措置(派遣法第30条)
第5 キャリアアップ措置について(派遣法第30条の2)
1 段階的かつ体系的な教育訓練を「派遣元」が実施
→教育訓練は「有給」「無償」で実施=時間外労働手当発生の可能性大
→派遣先で実施する場合、教育訓練を契約書等で特定
2 キャリアコンサルティングの実施
→担当者に資格までは必要ない
第6 均衡待遇強化について(派遣法第30条の3)
1 「派遣先における労働者」との均衡
2 派遣労働者に対する派遣元の説明義務
→不利益取扱いの禁止とセット
第7 労働契約申込みなし制度について(派遣法第40条の6)
1 構造
=「派遣先が」「法定の違法派遣」を受け入れた場合、
派遣先が「善意無過失の場合を除き」
「その時点から」「派遣先が派遣労働者に対し」「雇用主との労働条件と同一内容の」「労働契約の申込をしたものとみなす」制度
→平成27年10月1日施行
2 ポイント
(1)無許可事業主か否かの確認
→厚労省職業安定局「人材サービス総合サイト」で検索、確認
(2)偽装請負
→区分基準=昭和61年労働省告示37号、平成24年厚労省告示518号、質疑応答集
※告示、公示、通達、指針も要チェック
→派遣法等の規定の適用を免れる目的、が要件
以上