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活動報告Activity Report

埼玉企業法務研究会トップページ > 活動報告 > 2017年度 >2017年1月11日発表

商標権①(基礎概念) (弁護士 三輪 貴幸)

第1 基本的概念
 1 商標
 この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
一  業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二  業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)(商標法2条1項)
  →営業上の標識としての知的財産権の一つ
  自己の商品・サービスを他人のものと区別するために使用するマーク

 2 商標権
 ①商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。ただし、その商標権について専用使用権を設定したときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。(法25条)
②商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 商標権者又は専用使用権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。(法36条)
→商標権は、専用権と禁止権の二段構成。
   専用権=「指定商品」について「登録商標」を「独占的に使用」できる権利
禁止権=「指定商品」における「登録商標」と「類似する範囲」で他人による使用を禁止できる権利
  →専用権は禁止権を内含している。
→指定商品・登録商標の範囲+その類似範囲に禁止権が及ぶ
 ∵出所混同を生じる恐れの排除=商標権の効力強化
↓擬制侵害の概念が生じる
次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
一  指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用
二  指定商品又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品であつて、その商品又はその商品の包装に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを譲渡、引渡し又は輸出のために所持する行為
三  指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供するために所持し、又は輸入する行為
四  指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供させるために譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持し、若しくは輸入する行為
五  指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をするために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を所持する行為
六  指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持する行為
七  指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をし、又は使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造し、又は輸入する行為
八  登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造するためにのみ用いる物を業として製造し、譲渡し、引き渡し、又は輸入する行為(法37条)

第2 商標権の取得
 1 出願
   先願主義=先に出願をして登録した者に権利が付与される(法8条1項)
   一商標一出願=1つの出願で登録できる商標は1つだけ(法6条1項)
          ただし、使用する商品または役務の区分については複数指定可能
          →商品または役務は45の区分で表示される
          ただし、「種類」と「指定商品or役務」は各々記載事項
   ※前項の商品及び役務の区分は、商品又は役務の類似の範囲を定めるものではない。(法6条3項)
   出願手数料=3,400円+区分数×8,600円

 2 審査
   商標法第15条の拒絶理由に該当するか否かが審査される
   →3条1項各号と4条1項各号は一読しておくのがよいかと

 3 登録
   送達日から30日以内に、10年分または5年分(分割納付)の登録料を納付
   登録料は、設定登録料(10年分)=区分数×28,200円
        分割納付(5年分)=区分数×16,400円
   なお、更新登録料は10年分=区分数×38,800円
            分割納付(5年分)=区分数×22,600円
以上



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(Saitama Corporate Legal Affairs Association)