埼玉企業法務研究会トップページ > 活動報告 > 2017年度 >2017年3月10日発表
商標権③(侵害訴訟) (弁護士 三輪 貴幸)
第1 請求の趣旨
1 記載例
「1 被告は、別紙被告商品目録記載の商品に、別紙1記載の標章を付し、又は同標章を付した被告商品を販売し、もしくは販売のために展示してはならない
2 被告は、被告の本店、事務所及び倉庫に存在する別紙1記載の標章を付した商品を廃棄せよ
3 被告は、別紙目録2の謝罪広告を、別紙目録1記載の新聞の各全国版-2-の広告欄に、標題部の写植を13級活字、その余の部分を写植11級の活字でもって、各1回掲載せよ
4 被告は原告に対し、金●●●万円及びこれに対する●●●から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え」
2 ポイント
・1及び2は差止請求
=1が法36条1項に基づき、2が同条第2項に基づく
・別紙1記載の「標章」である点に注意!「商標」ではない!
・3は信用回復措置
=法39条→特許法106条
・方法は新聞広告に限られない。ホームページに掲載せよ等自由
・4は損害賠償請求
→損害賠償の根拠は民法709条(商標法に規定はない)
∴遅延損害金利率は「年5分」
第2 訴訟物価額
1 差止請求部分
①or②or③
①訴訟提起時の原告の年間売り上げ減少額
×訴訟提起時の原告の利益率
×1/10
②訴訟提起時の被告の年間売り上げ推定額
×訴訟提起時の被告の推定利益率
×1/10
③年間使用料相当額×10(年)×0.8
※使用料が契約等で決まっているのであれば圧倒的に③が簡単か?年間使用料は疎明資料必要
2 信用回復措置部分
措置に要する費用(広告費等)が認定できる場合はその額
できない場合や算定が極めて困難な場合は160万円
3 損害賠償部分
推定規定あり(法38条)
①38条1項・・・侵害品の販売の場合
=侵害品の販売量×被侵害者の単位数量当たりの利益
②38条2項・・・侵害による利益取得
=侵害者が侵害によって得た利益
③38条3項・・・使用料相当額
→許諾例がある場合はその例により、許諾例がない場合、一般的な使用料を斟酌しつつ、商標の著名性、顧客吸引力、使用の程度・方法等を勘案し、使用料相当額を決定
第3 審理モデル
大阪地裁の場合ですが、別添参照ください。
以上