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活動報告Activity Report

埼玉企業法務研究会トップページ > 活動報告 > 2017年度 >2017年4月14日発表

著作権①(基礎概念)(弁護士 三輪 貴幸)

第1 著作権法の基本理念
   著作権の基本ルールは、
   「著作物」の「著作者」に「著作権」が与えられること(著作権法第17条)
   方式を要しない(同条第2項)
  →著作物と著作者を保護する権利=表現を保護するもの

第2 基本概念
 1 著作物(著作権法第2条第1項)
 一  著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
→著作物の要件は
 「思想又は感情」を
 =客観的なデータや事実の報道はこの要件を満たさないことになる
 「創作的」に
 =他人の作品の模倣品やありふれた表現はこの要件を満たさないことになる
 「表現」
 =単なるアイデアはこの要件を満たさないことになる
  ※アイデアは特許権によっても保護されない
 「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
 =工業製品などはこの要件を満たさないことになる
  ※工業製品などのデザインを保護するのは意匠権

 2 著作者
二  著作者 著作物を創作する者をいう。
 →創作活動を業としていない者でも著作者になる
  ∵創作性は「個性が発言されている程度」で足り、芸術的価値は要求されていない
 →創作活動を他者に依頼した場合、その他者が著作者になる
  ∴発注者が、当該著作物を利用処分するには、著作権の帰属についての契約が、受注者との間で必要となる
 →法人著作(著作権法第15条)
  「法人等の発意に基づき」
  「法人等の業務に従事する者が」
  「職務上作成するもので」
  「法人名義で公表するもの」(プログラムの場合はこの要件は不要)
  ただし、契約や就業規則に別段の定めがないことも要件
  ※就業規則などでは原則が法人著作であることを定める規定もある
 
 3 著作権
   著作権には、「著作者人格権」と「著作財産権」がある。
(1)著作者人格権は、著作者に生じる一身専属的な譲渡不可の権利
   「公表権」(著作権法第18条)
=その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利
   「氏名表示権」(著作権法第19条)
=その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利
   「同一保持権」(著作権法第20条)
   =その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けない
   「名誉声望保持権」(著作権法第113条第6項)
=名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為は、その著作者人格権を侵害する行為とみなす
(2)著作財産権は、財産権の性質を有する譲渡可能な権利
 →制作に関する権利
  「複製権」(著作権法第21条)
  =複製する権利を専有する
  「翻訳権」「翻案権」(著作権法第27条)
  =翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する
 →伝達・利用に関する権利
  「上演権」「演奏権」(著作権法第22条)
  =公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有
「上映権」(著作権法第22条の2)
=公に上映する権利を専有
「公衆送信権」(著作権法第23条)
=公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有
「公衆伝達権」(著作権法第23条第2項)
=公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有
「口述権」(著作権法第24条)
=その言語の著作物を公に口述する権利を専有
「展示権」(著作権法第25条)
=その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有
「頒布権」(著作権法第26条)
=その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有
「譲渡権」(著作権法第26条の2)
=その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。以下この条において同じ。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有
※例外あり
「貸与権」(著作権法第26条の3)
=その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有

以上


埼玉企業法務研究会

(Saitama Corporate Legal Affairs Association)