本文へスキップ

埼玉企業法務研究会です。

ご相談・お問い合わせ等は各メンバーの事務所に直接お問い合わせください
各メンバーの事務所の連絡先はこちら

活動報告Activity Report

埼玉企業法務研究会トップページ > 活動報告 > 2017年度 >2017年6月16日発表

著作権③(プログラムの著作物)(弁護士 三輪 貴幸)

第1 プログラムの著作物とは
著作権法第10条1項9号で例示されている著作物
定義:著作権法第2条1項10号の2
→要するに、コンピュータに対する指令を
プログラム言語という言語体系(のようなもの)に即して
表現した著作物

←プログラムの著作物ではないもの(著作権法第10条3項)
・プログラム言語
→日本語や英語が著作物ではないのと同様
・規約=プログラム言語の用法についての特別の約束
→文法が著作物でないのと同様
・解法=指令の組み合わせの方法・アルゴリズム
→処理手順なので表現というよりアイデア

第2 プログラム著作物の検討点
 1 創作性
   著作物には創作性が必要
   →創作性=独創性(オリジナリティ)+創造性(著作者の創造的選択)
    創作性は、内容についてではなく、具体的な表現に必要
   コンピュータ・プログラムは、表現したものにより、一定の機能を果たさせることを目的としている機能的な著作物
   →どうしても創造性に限度があり、特許権等の工業所有権に近くなってしまう
    ある表現に容易に著作物性を認めると、プログラムの発展が阻害されてしまう
   ∴プログラムの指令の「組み合わせ」に創作性を認める
   →「選択の幅」の理論
    当該思想や考えを表現しようとするならば同一の表現しかありえない、という場合は「創作性」がないものとする
コンピュータ・プログラムの場合選択の幅は一般的に狭い
「ありふれた表現=ありふれたプログラム」の問題
 2 データベースの著作物
   情報の集合物であって
   情報をコンピュータで検索できるように
   体系的に構成 したもの
   →情報の「選択」または「体系的構成」に著作物性を認めるもの
   ・コンピュータ・システムはデータ処理が重要であるため、データベースをそのシステム内に組み込んでいることがほとんど
   →データベースは改変しにくい(らしい)
    データベースが使えなくなるとシステム自体も使えなくなる(再構成が難しい)
   ∴プログラムシステムの著作権を争うときは真っ先に着目すべし

以上



埼玉企業法務研究会

(Saitama Corporate Legal Affairs Association)