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活動報告Activity Report

埼玉企業法務研究会トップページ > 活動報告 > 2017年度 >2017年9月29日発表

特許権①(基礎概念)(弁護士 三輪 貴幸)

第1 基本的概念
 1 特許権
   特許権は、特許を受けた発明を、業として独占排他的に実施する権利
   特許権者は、業として特許権設定の登録を受けた発明=特許発明を実施する権利を専有する(特許法第68条)

 2 発明
(1)発明とは、
・自然法則を利用した
=経済法則や人為的なルールなどの着想は×
・技術的思想の創作のうち
=人為的なものであることが必要で、天然物、自然現象などは発明でなく発見
・高度のもの
=高度でない創作は実用新案の対象

(2)発明は
①物の発明
②方法の発明
 ⅰ狭義の方法の発明
 ⅱ物を生産する方法の発明
に分類される(法2条3項)

 3 特許要件
   特許権が認められるためには、発明が以下の要件を満たしていることが必要
   ・産業上の利用可能性(法29条1項柱書)
   =産業にはサービス業も含まれる
   ・新規性
   =発明が未だ社会に知られていないこと。公知or公用(公然実施)or刊行物記載等の有無により判断(法29条1項各号)
   ・進歩性
   =通常の知識を有する者が容易に発明をすることができないこと(法29条2項)
   ・不特許事由に該当しないこと
   =公序良俗違反、公衆衛生を害するおそれのある発明は特許を受けられない(法32条)

 4 特許を受ける権利
   発明の完成と同時に、発明者に原始的に帰属
   発明者は自然人に限られ、法人は発明者にはなり得ない
   →法人は特許を受ける権利の承継人にはなり得る。
   特許出願は、発明者または特許を受ける権利を発明者から承継したものだけが可能
   →この権利を有しない者による出願=冒認出願
    拒絶事由(法49条7号)かつ無効事由(法123条1項6号)

第2 職務発明
1 職務発明とは
   ・従業員等がおこなった発明で
   ・性質上使用者等の業務範囲に属し
   ・その発明をするに至った研究開発などの行為が
   ・その従業員等の現在または過去の職務に属する
   ものをいう。
2 内容
   ・原則:職務発明を行った従業員等が特許を受ける権利を有する
   →特許権を取得した場合、使用者等は通常実施権が認められる
   ・契約、就業規則その他のさだめにおいて予め使用者等に特許を受けさせる権利を定めておくことにより、使用者等にも特許を受ける権利が原始的に帰属する=予約承継(法35条3項)
   ・従業者等が使用者等に特許を受ける権利を取得させor特許権を承継させor「専用」実施権を設定等したとき
    →相当の利益の支払いを受ける権利を取得する
     相当の利益には社内での昇進なども含まれる

第3 特許権の取得
  1 出願
    先願主義=先に出願をして登録した者に権利が付与される
  2 出願公開
    出願から1年6カ月後に、方式審査を経てなされる
  3 審査請求
    出願から3年以内に審査請求を行わないと、特許査定の審査が行われない
    3年以内に審査請求をしないと、出願を取り下げたものとされる
    審査請求は出願人以外の者も行える
  4 特許査定or拒絶理由通知
    拒絶理由がなければ特許査定がされる
    拒絶理由があると通知され、意見書や手続き補正の機会が与えられる
  5 登録料納付&設定登録
    特許査定を受けると登録料が通知され、納付すると設定登録が受けられる
   
以上


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(Saitama Corporate Legal Affairs Association)