埼玉企業法務研究会トップページ > 活動報告 > 2018年度 >2018年1月26日発表
法務デューデリジェンス(弁護士 三輪 貴幸)
第1 プロセス
1 依頼者による法務DD実施の決定
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2 現地調査期日の打診
(財務DDと同日にするかorずらすかなども検討)
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3 現地調査日程の決定
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4 依頼者からの対象会社情報開示
(自分の依頼者は、帝国データバンクの調査報告書を送ってくれる)
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5 事前資料開示要望リスト作成、送付
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6 事前資料開示
(もちろん、当方が要求する事前資料の全てが開示されるわけではない)
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7 依頼者との間で調査方針打合わせ
(自分の依頼者は、基本的に調査項目を絞らない)
8 ヒアリングシート作成、送付
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10 現地調査の際に用意してもらう備品、資料等について摺合せ
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11 現地調査
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12 追加資料依頼、追加ヒアリング実施
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13 報告書作成
※全体的なスケジュールは大体キツイ
特に事前準備時間がかなり厳しい
第2 ポイント
1 事前準備(プロセス1~10)
・現地調査で出来ることは限られている(7~8時間×2~3日くらい?)
→事前にできる限りの情報を得ておくのが大事
→可能であれば、重点チェック項目を依頼者と摺合せできるのが理想
ただし、そもそも依頼者自体が対象会社をよく知らないこともままある
2 現地調査(プロセス11)
・法務DDを実施することを秘密にしたい対象会社もあるので注意!
・各部署の担当者との時間割に注意
→何時にどの部署の責任者から話を聞けるのかは重要
・スキャナー、プリンター、プロジェクターなどが必要なら、事前に伝えて準備してもらう
→自分は現地調査で資料を収集するよりも、その場でチェックしたものを後からデータで送ってもらう事が多い
・見る資料はポイントを絞る
→ヒアリングの時間割と合わせて資料を見る時間割を組むのが重要
例:1日目
9:00~10:30 代表者、総務責任者からヒアリング
10:30~12:00 営業責任者、技術責任者からヒアリング
休憩
13:00~15:00 定款、議事録等チェック
15:00~17:00 契約書チェック、翌日の準備について打合せ
2日目
9:00~11:00 就業規則及び諸規定、タイムカード等チェック
11:00~12:00 前日からの追加資料チェック
休憩
13:00~15:00 総務責任者等からヒアリング②
15:00~16:30 現地調査でしか確認できない資料をチェック
16:30~17:00 追加資料等依頼
※対象会社の社員を残業させるのはご法度
→開始時間、休憩時間、終了時間は必ず遵守!
3 追加調査・報告書作成
・追加調査はできる限り少なく!
→あまりに多いと対象会社にも迷惑(特に追加ヒアリング)、依頼者にも負担がかかる
・報告書作成は速やかに!
→記憶が鮮明なうちに、やる気があるうちに
→まず1日2日では終わらないので、記憶に頼らなければならない事項から書き始める
・報告書作成に充てられる時間を計画的に捻出
→依頼者は報告書を役員会議の資料などにするので、締切は厳しい…
第3 内容
事務所や案件によっては、複数の弁護士が、担当を分担して手掛けるようだが、自分は単独でしかやったことがない
→自分がチェックする分野(報告書の目次)は大体以下のとおり
1 設立・会社組織・株式
2 株主・関係会社・M&A
3 資産(不動産、動産等)
→金融関係は財務DDにお任せしています
4 知的財産
5 契約・取引関係
6 人事労務関係
7 コンプライアンス・紛争等
※実に様々な法律の知識が必要…現在法務DDに必要な法律条文をまとめ中
→個々の項目のチェックポイントについては「法務DDの実務」(中央経済社)がバイブルかと
・法務DDの報告書は、基本的に「目次」が先にあって、そこに内容を埋め込んでいくもの
→事前準備で目次は作っておくべし
以上