本文へスキップ

埼玉企業法務研究会です。

ご相談・お問い合わせ等は各メンバーの事務所に直接お問い合わせください
各メンバーの事務所の連絡先はこちら

活動報告Activity Report

埼玉企業法務研究会トップページ > 活動報告 > 2018年度 >2018年3月16日発表

事業承継をめぐる諸問題 -株式の集中- (弁護士 齋藤 伸一)

 前回の丸山先生の発表では,自社株の承継方法について言及があったものと思われるが,今回は,承継にあたり株式を後継者に集中させる際の諸問題を検討する。

1 株式集中が問題となるケース
(1)先代の段階で株式が分散している場合

(2)先代の段階では株式が集中していたが相続の際に分散した場合

(3)先代は,生前承継させるつもりだが,承継後も影響力を残したい場合

(4)名義株が存在している場合
名義株:株主名簿に記載されている株主と真の株主が相違している株式

2 分散時の対応策
(1)後継者が株式を買い取る
 (生前贈与,遺言,死因贈与,遺言及び遺産分割については前回)

(2)会社が新株を発行して後継者だけに割当て(第三者割当て)

(3)会社が自社株を取得して後継者の持ち株比率を上げる
ア 合意による買取り(156,160)

イ 会社に株式取得権を付与
① 既存株式に取得条項付種類株式の利用(107Ⅰ③,108Ⅰ⑥)
・先代が贈与や遺言などで,
普通株式→後継者
   ・取得条項付株式→非後継者 としておく
  →取得条項に基づき会社が取得
② 相続人等に対する売渡請求制度の導入(174)
  (要件)

(注意点)

(4)スクイーズ・アウト
ア 特別支配株主の株式等売渡請求(179~)

イ 株式併合の利用(180~182)

ウ 全部取得条項付種類株式の応用(171Ⅰ,108Ⅰ⑦)

流れの一例
→全部取得条項付種類株式を導入
→発行済株式を全部取得条項付種類株式に変更
→全部取得条項付種類株式の取得及び対価として端株を交付する
特別決議

3 議決権の分散防止
(1)議決権制限種類株式(108Ⅰ③)

(2)拒否権付種類株式(108Ⅰ⑧)

(3)株主ごとの異なる取り扱い(109Ⅱ)

4 生前は先代が影響力を残す対策
(1)拒否権付種類株式(108Ⅰ⑧)
・注意点

・対応策

(2) 役員選解任権付種類株式(108Ⅰ⑨)

5 名義株の対応
(1)名義の変更

(2)証拠の確保

(3)税法上の問題

6 その他種類株式による対応等
(1)剰余金の配当優先種類株式(108Ⅰ①)

(2)残余財産分配に関する優先株式(108Ⅰ②)

(3)取得請求権付種類株式(108Ⅰ⑤)

(4)従業員持株会の設立(議決権制限付種類株式)
・民法上の組合(民法第667条)
  ・配当還元価額(原則的評価額に比べて評価額が低い)で譲渡
    →株価が下がる
・規約に,退職時には従業員持株会が株式を強制的買戻し規定

以上





埼玉企業法務研究会

(Saitama Corporate Legal Affairs Association)