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活動報告Activity Report

埼玉企業法務研究会トップページ > 活動報告 > 2019年度 >2019年7月19日発表

介護保険(司法書士 金子 彰良 )


根本規定

憲法25条
すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。




介護保険法(抜粋)

1条 (目的)
 この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。

2条 (介護保険)
 介護保険は、被保険者の要介護状態又は要支援状態(以下「要介護状態等」という。)に関し、必要な保険給付を行うものとする。
2 前項の保険給付は、要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資するよう行われるとともに、医療との連携に十分配慮して行われなければならない。
3 第一項の保険給付は、被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、被保険者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。
4 第一項の保険給付の内容及び水準は、被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。

4条 (国民の努力及び義務)
 国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする。

2 国民は、共同連帯の理念に基づき、介護保険事業に要する費用を公平に負担するものとする。


 介護保険のしくみ


※ さいたま市の場合は市町村から事業所・施設の指定があります。


介護保険給付の要件

1 介護保険の納付(40歳になると介護保険の加入が義務付けられ、保険料を支払うことになります)
2 要支援、要介護認定の申請を区役所へする。(要支援 要介護認定が認められれば、給付資格が市区町村から与えられる)
3 介護(予防)計画を作成して市区町村に提出(P20~~P23)
4 指定居宅サービス事業 介護保険施設と契約を結ぶ
 (実務的には居宅サービス計画作成届出書)P25


被保険者

 第1号 満65歳以上の人       原因を問わない

 第2号 40歳から64歳の医療保険加入者     対象となる病気や原因に制限あり

特定疾病等(介護保険法施行令2条)で要支援、介護状態なった場合のみ適用する。P4



介護保険の利用

要支援 1・2 利用方法、利用できるサービスについて ・・・ P17~19
要介護 1~5 利用方法、利用できるサービスについて ・・・ P20~25


サービス
訪問介護        市役所の指定


通所介護(デーサービス)
定期巡回
随時対応型訪問看護           都道府県の指定
認知証対応型共同生活看護        P26・27・28 

特別養護老人ホーム





問題点

医療保険との比較
1. 要介護認定を受けなければならない → 実務では2ヶ月くらいかかる
2. 在宅サービスについては、限度額が有り限度額を超える部分は自己負担となる。P31
3. 原則一割負担 負担できなければ保険そのものを使えない。
4. ケアマネージャーが計画を立てるには本人の同意が必要

2割負担年金収入で、280万以上の第一被保険者にかかる利用割合が1割から2割へ
補助給付の申請で通帳の写しを申請し、金融機関に市区町村が照会できる制度になっている。
非課税年金(障害年金や遺族年金)も収入とみなされ世帯分離しても、一方の配偶者に所得があり課税されている場合には、補修給付の対象外となる。
⇒ 実務の対応としては、離婚などをアドバイスする者もいる。

3割負担 2017年
年金収入とその他の所得(一時所得も含む)単身世帯で340万 夫婦で463万
⇒ 3割負担の利用者が2年を超えて介護保険料を滞納した場合は、6割給付に減額される。
自己負担が4割になる。

生活保護法の改正により「介護扶助」が設けられ国民健康保険及び介護保険の第二被保険者とされていない40歳から64歳の生活保護受給者に対しても介護保険と同様のサービスが、利用者の負担なしに現物給付される。
65歳以上の要介護、要支援者である生活保護受給者に対しても利用者の負担なしで現物給付される。
利用負担がないため限度額いっぱいに使用できる。

老人福祉法は「福祉の措置」として在宅介護、老人ホームへの入所を市区町村の責任で行うことを規定している。
厚労省は、家族の虐待や極度の認知証で本人を代理する家族等がいない場合を限定的に解している。
⇒ 成年後見人が選任されて、契約ができるまで使用する用途があるが、市などの予算があり活用される例が少ない。

介護保険の1割の負担ができない場合でも、全身障害者については、介護保険で対応できない部分は引き続き必要な施策サービス提供を受けることができる
⇒ 介護保険制度と障害者施策との適用関係について2007年3月24日通達
⇒ 解説 ホームペルパーなど似てる部分があるが異なる部分を介護保険で使って足りないところを障害自立支援事業を使用する。





備考知識
 士業としては、社会保険労務士のみ介護認定申請ができる。
その他、地域包括支援センター指定居宅介護支援事業者など   P14 下
 特定社会保険労務士 厚生労働大臣が指定する団体が行う個別労働紛争に関する民間紛争解決手続きについて代理する場合の上限額120万円まで。社会保険労務士方2条1項の6 法2条の2
本人及び弁護士代理人とともに出頭し、補佐人として陳述する場合は上限額がない。





データー
介護心中・殺人事件 毎年40~50件
認知症による行方不明 年間1万人
鉄道事故 年間20人以上



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(Saitama Corporate Legal Affairs Association)